インフルエンザ(季節性)
新型インフルエンザ(A/H1N1)は、
2011年4月1日から通常の季節性インフルエンザに変わりました。
季節性インフルエンザとは
インフルエンザとは、気道の粘膜などにインフルエンザウイルスが感染する病気です。主な症状は、高熱(38~40度)、関節痛、筋肉痛があり、感染力が強く潜伏期間が短いことも特徴です。 毎年、12月下旬から3月中旬くらいまで季節性インフルエンザが流行し、多くの人を苦しめています。
インフルエンザも、かぜ症候群と同じような症状を起こしますが、一般的にインフルエンザは通常のかぜと比較して症状が重く、治るまでに時間がかかります。 子供と高齢者が特にかかりやすい病気ですが、高齢者がかかると肺炎を併発したり、持病を悪化させたりして重体となりやすく、最悪の場合死に至ることもあります。
季節性インフルエンザの原因
季節性インフルエンザの原因になるインフルエンザウイルスはA・B・C型があり、その中で問題となるのはA型とB型です。
特にA/H3N2(香港)型ウイルス、A/H1N1(ソ連)型ウイルスと、B型ウイルスの3種類が流行することが多いです。
季節性インフルエンザの感染経路
季節性インフルエンザの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
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飛沫感染
インフルエンザに感染した人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫とともに、空気中に放出されたウイルスを健康な人が吸入することによって感染します。
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接触感染
インフルエンザに感染した人が、くしゃみや咳を手で抑えた後や、鼻水を手でぬぐった後に、机やドアノブ、スイッチなどに触れると、その触れた場所にウイルスが付着します。 付着したウイルスに健康な人が手で触れ、その手で目や鼻、口に再び触れることによって、ウイルスが体の中に入り感染します。
季節性インフルエンザの症状
インフルエンザウイルスに感染すると、典型的には、1~3日間くらいの潜伏期間を経て、突然38~40度前後の高熱が出て発病します。
それとともに、さむけ、頭痛、筋肉痛、咳、痰、食欲不振、関節痛、全身倦怠感、鼻水、のどの痛み、腰の痛み、胸の痛みなどの症状がでます。
下痢やおなかの痛みなどの消化器症状がでることもあります。
季節性インフルエンザの検査
季節性インフルエンザの診断を下すためにはインフルエンザウイルスに感染しているかどうかの検査を行ないます。現在では15分程度で結果が出る迅速診断キットが検査に使用されます。鼻腔ぬぐい液(鼻の奥に綿棒を挿入し、数回こするようにして粘膜表皮を採取します)
または咽頭ぬぐい液(のどに綿棒を挿入し、数回こするようにして粘膜表皮を採取します)を検査の材料として使います。
検査で陽性と出た場合には、ほぼインフルエンザと断定して間違いはありませんが、陰性と出た場合にはインフルエンザであることも、インフルエンザでないこともありえます。つまりインフルエンザを否定する根拠にはなりません。
検査では鼻腔ぬぐい液で約80~85%前後、咽頭ぬぐい液で約60~80%前後の陽性率です。特に発病後1日以内は感度が低いため、インフルエンザに罹っているにもかかわらず、検査では陰性となる可能性が多くあります。
季節性インフルエンザの診断
診断は診断キットで陽性と出た場合はインフルエンザと診断されます。しかし、陰性と出た場合でも症状が典型的な場合や、職場、学校、家庭内などにインフルエンザにかかった人がいて、接触した場合などは総合的に判断し、インフルエンザの薬を内服することもあります。
よくインフルエンザでないことを証明してくださいという依頼がありますが、検査のところでも説明しましたように、検査で陰性と出た場合にもインフルエンザであることも、インフルエンザでないこともありえます。つまり検査での陰性はインフルエンザを否定する根拠にはなりません。
季節性インフルエンザの合併症
インフルエンザの合併症としては、高齢者がかかりやすい肺炎や乳幼児がごくまれに併発する脳炎があります。その中でも肺炎は高齢者に起こることが多く、死亡の原因となることもあるため、特に注意が必要です。
これらの合併症を併発しないための対応策としては、季節性インフルエンザが流行する前に、予防接種を受けることぐらいしかありません。そうすれば季節性インフルエンザにかかったとしても、症状が軽くすむ場合が多くなります。
また、一部の解熱剤ではライ症候群や脳炎などを引き起こすことがありますので、熱が高いからという理由で、市販の解熱剤を自己判断で服用するのは注意が必要です。
季節性インフルエンザの治療
治療は薬物療法が中心となります。インフルエンザウイルスの増殖を抑えるタミフル、またはリレンザを使用します。
タミフルは飲み薬、リレンザは吸入する薬で、両方とも48時間以内に服用しなければ効果が薄くなります。
発病48時間以内に使用すれば、ウイルスの増殖を抑え、多くの場合効果があります。
迅速診断法で陽性であれば、どちらかの薬剤を使用します。タミフルとリレンザはA型、B型の両方に有効です。タミフルについては、10歳代のお子さんでは服用後の異常行動との関連が指摘されていて、使用に際しては注意が必要です。
2010年10月4日に新たなインフルエンザ治療薬、イナビル(吸入粉末剤)が保険適応となりました。この薬の最大の特徴は、一回の吸入のみで十分な抗インフルエンザ効果が得られることです。A型、B型両方に効果が認められ、もちろん新型インフルエンザにも効果があると考えられています。
残念ながら今シーズンの供給量は十分ではない見込みで、実際に使用できる場合は限られてくると思われます。
抗ウイルス薬はインフルエンザ感染に最も有効な治療薬です。インフルエンザはウイルスですから、抗生物質は無効です。症状を和らげる治療として、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などには解熱鎮痛剤(カロナール)、鼻水、くしゃみには抗ヒスタミン剤(ペリアクチン、ポララミン)、咳には咳止め(アスベリン、メジコン)、痰に去痰剤(ムコソルバン、ムコダイン)を内服します。
また、小児の場合は解熱鎮痛剤(アスピリン、ボルタレンなど)を使用するとまれに、ライ症候群という合併症を併発することもあります。解熱鎮痛剤を使用する場合はカロナールを、必ず医師の指示のもとに服用するようにしてください。
季節性インフルエンザの予後
通常は2、3日でピークを迎えて、1週間くらいで治ります。炎症が強い場合は咳だけ残ったり、のどの違和感が続いたりすることもあります。
季節性インフルエンザの注意点
できるだけ安静にし、十分な睡眠と栄養を取り体力をつけることが必要です。インフルエンザウイルスの空気中での活動を抑えるために、室内の湿度を60~70%に保つように心がけてください。
また、水分を十分に補ってあげることで脱水症状を予防しましょう。インフルエンザウイルスは熱が下がって、症状が改善しても、体の中に残っているため、周りの人にうつしてしまう可能性はあります。
流行を最小限に抑えるためにも、熱が下がった後も家でゆっくり休むことが大切です。目安としては発熱した翌日から1週間は人と接触せず、家でゆっくりするとよいでしょう。
季節性インフルエンザの予防接種
インフルエンザの予防接種を受ければ、絶対にインフルエンザにかからないということではありませんが、予防接種するとインフルエンザにかかりにくくなります。インフルエンザにかかっても、ワクチン接種しなかった人と比べて、多くの場合に重くならずにすみ、治りが早くなります。
実際成人の場合は、インフルエンザの発病阻止率は70%~90%前後といわれています。なおインフルエンザや合併症の肺炎による入院患者数が30~60%減り、死亡者数が50~70%減ったという報告もあり、合併症にも有効です。
12歳までのお子さんでは、1回の接種では抗体の上昇が不十分なため、2回接種が必要です。予防接種を受けてから、インフルエンザに対して有効になるまで2週間程度かかり、その効果が十分に持続する期間は5か月前後となります。10月から12月ごろに接種すると効果的でしょう。
榎本医院
概要- 院長
- 榎本 真也 医学博士
- 前院長
- 榎本 哲 医学博士
- 標榜科目
- 内科、脳神経外科、呼吸器内科、小児科
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- 2名
- 資格
- 日本内科学会認定医、日本脳神経外科学会専門医
日本救急学会認定専門医、日本脳卒中学会認定専門医
日本脳神経血管内治療学会認定専門医 - 住所
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