高血圧症
高血圧症は脳心血管病(脳卒中および心疾患)の最大の危険因子です。脳心血管病の死亡率は過去50年間で大幅に低下したとはいえ、今でも年間約10万人がなくなっていると推定されており、高齢者では癌とほぼ同程度の死亡原因となっているため、血圧の十分なコントロールが求められています。
高血圧症の原因
高血圧症のほとんどは塩分過多、肥満、運動不足、過度の飲酒、喫煙など生活習慣による本態性高血圧と呼ばれるものです。しかし高血圧の中には二次性高血圧と言われ、ほかの原因疾患(腎血管性高血圧、腎実質性高血圧、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、褐色細胞腫、ホルモン異常など)を基盤とする高血圧があり、高血圧全体の10%以上を占めるとされています。
高血圧症の症状
高血圧のみでは症状がないことがほとんどですが、頭痛、肩こり、めまい、動悸などの症状が出ることもあります。
高血圧症の検査
高血圧と診断するためには正しい血圧測定が必要です。一般的には上腕式自動血圧計が良いでしょう。
ご家庭で測定するときは、朝晩2回、起床後1時間以内と就寝前に測定します。起床後排尿を済ませ、食事やお薬の前に1-2分安静にし、背もたれ付きの椅子に座って、会話をせず、測定する腕と心臓を同じ高さにして測定するようにしてください。晩は就寝前に1-2分安静にし、背もたれ付きの椅子に座って、会話をせず、測定する腕と心臓を同じ高さにして測定するようにしてください。夕食後のお薬は服用していただいて結構です。1機会原則2回測定し、平均値を記録してください。
二次性高血圧が疑われる場合は疑われる原因疾患に特有な検査(血液検査、画像検査、睡眠時無呼吸症候群の検査など)を追加することがあります。
高血圧症の診断
高血圧治療ガイドライン2019では、高血圧診断は医療機関で測定した「診察室血圧」とご家庭で測定した「診察室外血圧」のそれぞれの診断により、「非高血圧」「白衣高血圧」「仮面高血圧」「持続性高血圧」の4種類に分類されています。(下図)
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非高血圧
診察室血圧が基準(140/90mmHg)未満であり、かつ診察室外血圧も基準(135/85mmHg)未満の場合は、血圧が安定的に正常な非高血圧に分類されます。
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持続性高血圧
診察室でも家庭でも基準を上回る場合、常に血圧が高い持続性高血圧に分類されます。一般的な高血圧とは、この持続性高血圧を指すものです。動脈に高い圧力がかかり続けるため、血管に負担がかかって、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが2〜3倍程度高まるとされています。
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白衣高血圧
病院で血圧を測ったら、家庭で測ったときよりも高かった、こんな経験はないでしょうか。医師や看護師などの白衣を着た医療関係者がいる病院やクリニックにおいてのみ高血圧になることを、白衣高血圧といいます。診察室高血圧とも呼ばれています。しかし、まったく正常というわけでもなく、一部は持続性高血圧に移行するリスクもあるので、普段から注意しておくことが大切です。
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仮面高血圧
白衣高血圧とは逆に、診察室血圧は非高血圧なのに、診察室外血圧が基準値を超える状態を仮面高血圧といいます。仮面高血圧には、起床時の血圧が高い「早朝高血圧」、夜間に寝ている間の血圧が高い「夜間高血圧」、昼間に高くなる「ストレス性高血圧(または職場高血圧)」があります。いずれにしても脳・心血管疾患リスクは、正常血圧よりも2〜3倍高く、持続性高血圧患者と同程度か、それ以上をマークすることもあるので注意しましょう。
高血圧症の合併症
高血圧を放置したり、治療が不十分だと脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、心臓病(狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全など)、腎臓病および大動脈疾患(大動脈解離や大動脈瘤など)など様々な疾患の危険因子となります。
高血圧症の治療
生活習慣の改善と薬物治療になります。年齢や合併疾患(脳卒中、心疾患、腎疾患、糖尿病)、服用薬などで降圧目標が異なります。生活習慣修正は高血圧予防や降圧薬開始前のみならず、降圧薬開始後も重要です。
【降圧目標(高血圧治療ガイドライン2019より。一部改変)】
食事療法 | 診察室血圧(mmHg) | 家庭血圧(mmHg) |
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75歳未満の成人 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) 冠動脈疾患患者 慢性腎臓病患者(蛋白尿陽性) 糖尿病患者 抗血栓薬服用中 |
< 130/80 | < 125/75 |
75歳以上の高齢者 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) 冠動脈疾患患者 慢性腎臓病患者(蛋白尿陽性)※2 |
< 140/90 | < 135/85 |
【生活習慣の修正項目(高血圧治療ガイドライン2019より。一部改変)】
- 食塩制限 6g/日目標
- 野菜・果物の積極的摂取※
飽和脂肪酸、コレステロールの摂取を控える
多価不飽和脂肪酸、低脂肪乳製品の積極的摂取) - 適正体重の維持:BMI(体重(㎏)÷身長(m)2)25未満
- 運動療法:軽強度の有酸素運動(動的および静的筋肉負荷運動を毎日30分、または180分/週以上行う)
- 節酒:エタノールとして男性20-30ml/日以下、女性10-20ml/日以下に制限する
- 禁煙
※カリウム制限が必要な腎障害患者では、野菜・果物の積極的摂取は推奨しない
肥満や糖尿病患者などエネルギー制限が必要な患者における果物の摂取は80Kcal/日程度にとどめる
榎本医院
概要- 院長
- 榎本 真也 医学博士
- 前院長
- 榎本 哲 医学博士
- 標榜科目
- 内科、脳神経外科、呼吸器内科、小児科
- 医師数
- 2名
- 資格
- 日本内科学会認定医、日本脳神経外科学会専門医
日本救急学会認定専門医、日本脳卒中学会認定専門医
日本脳神経血管内治療学会認定専門医 - 住所
- 〒362-0067 埼玉県上尾市中分1-28-7
- 電話
- 048-725-1651
- アクセス
- JR上尾駅、北上尾駅より車で10分・駐車場17台
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